パンチくんかわいそう!育児放棄はなぜ?市川市動植物園飼育員との感動物語

パンチくんかわいそう!育児放棄はなぜ?市川市動植物園飼育員との感動物語

千葉県市川市動植物園のニホンザル「パンチくん」がいま、日本中どころか世界中の涙を誘っています。
生まれた翌日に育児放棄されて、IKEAのぬいぐるみをお母ちゃんに育った生後7ヶ月の男の子。
なんでお母さんザルは育てなかったの?いま群れではどうしてるの?気になるあれこれ、全部まとめました!

パンチくんかわいそう!育児放棄はなぜ?市川市動植物園飼育員との感動物語

パンチくんとは?

まずはパンチくんのプロフィールをおさらいしましょう。
パンチくんは、2025年7月26日に千葉県・市川市動植物園で生まれた、体重わずか500グラムのニホンザルの男の子。
名前の由来がまたかわいくて、「猿→モンキー→モンキー・パンチ→パンチ!」という飼育員さんたちの遊び心から付けられたんだそう。

生まれた瞬間から育児放棄

パンチくんの運命は、生まれた瞬間から過酷でした。
お母さんザルに育児放棄されてしまったパンチくんは、生後わずか翌日から飼育員の鹿野紘佑さん(24歳)と宮腰峻平さん(34歳)による人工哺育がスタート
ふたりのお兄さん飼育員が、文字どおり親代わりとなって育ててきたんです。
そして2026年1月19日、生後約6ヶ月で念願のサル山へ!
でもそこからがまた波乱万丈で…。
今や「#がんばれパンチ」のハッシュタグとともに、SNSで8,000回以上リポスト、5万件近くの「いいね」を集める大スターになっています。

母ザルが育児放棄した理由

「お母さんなのにひどい!」って思ったお母さんも多いと思いますが、ちょっと待って。お母さんザルにも事情がありました。
まず大きな要因が初産だったこと
人間でも初めてのお産って体力的にも精神的にもものすごく大変。
サルも一緒で、特に初めて出産するお母さんは「育て方がわからない」「体力的に余裕がない」というケースが出てくるんだそう。
そしてもうひとつが2025年夏の記録的な猛暑
真夏の暑い盛りに出産したお母さんザルは、難産もあってぐったり状態だったそうな。
実は、ニホンザルの育児放棄は野生下でも一定数あることで、珍しいことではないそうです。
「初産の場合」や「群れの中での立場が弱い場合」などに起きやすいといわれていて、お母さんザルが”悪者”というわけじゃないそうです。
ちなみに、市川市動植物園で人工哺育が行われたのは、2008年のオトメちゃん以来なんと約17年ぶりの出来事なんだって…!

IKEAのぬいぐるみが”お母ちゃん”に

育児放棄されたパンチくんには、本来なら絶対に必要なものが足りませんでした。

それはお母さんの毛にしがみつく経験。
サルの赤ちゃんは生まれてすぐからお母さんの毛にしがみつくことで、安心感を得たり、筋力をつけたりします。
でもパンチくんにはそのお母さんがいない。
そこで飼育員さんたちは、筒状にしたタオルやいろんなぬいぐるみを用意して<代わりになるもの>を試してみました。
その中でパンチくんがひと目で気に入ったのが、IKEAのオランウータンのぬいぐるみでした!

「ぬいぐるみの毛があってつかみやすく、見た目もサルに似ているから安心感があったのでは」

と鹿野さん。
このぬいぐるみは今や「オランママ」の愛称でも呼ばれていて、夜に飼育員さんが帰った後も、パンチくんはオランママに寄り添って眠っていたんだって。
不安なときはしがみついて、怖いときは後ろに隠れて…。
そのけなげな姿に、見た人みんなの涙腺崩壊。

飼育員のパンチくん育児法

人工哺育って聞くと「保育器でミルクを飲ませるだけ」なイメージがあるかもしれないけど、市川市動植物園の飼育員さんたちは一味違いました。
飼育員さんたちは最初から「いつかサル山にスムーズに戻れるように」という目標を持っていました。
だから、保育器の中だけで育てるんじゃなくて、なるべく他のサルのにおいや鳴き声が聞こえる場所で育てたそうな。
この先を見据えた育て方、さすがプロだなって感じます。
6ヶ月かけて少しずつサル山に置く時間を増やしていって、そして迎えた2026年1月19日の群れへの本格復帰。
飼育員さんたちの愛情と計算がつまった半年間でした…。

パンチくんがいじめられてる?

いよいよ群れに戻ったパンチくん。
でも最初は想像通り、そう簡単にはいきませんでした。
他のサルたちに近づこうとしては威嚇されたり追い払われたり…。
そんな中でもオランママのぬいぐるみを手放さずにしがみつくパンチくんの姿がSNSで拡散されて、「見てると涙が出る」「私が引き取りたい!」と大反響に。
さらに2026年2月19日には、大人ザルにパンチくんが引きずり回される動画がSNSで拡散されて「いじめじゃないの!?」と心配の声が殺到!
そこで動植物園が異例の声明を発表しました。
内容はこんなかんじ。
「パンチが別の子ザルにコミュニケーションを取ろうとしたところ、その子の母親に『余計なことをするな』と怒られた場面」で、本気の攻撃じゃなかったそうです。
園は

「パンチは何度も怒られながらサルとして生きるコミュニケーション方法を学んでいます」
「ただかわいそうと思うのではなく、頑張りを応援してほしい」

と呼びかけています。
人間の子育てでも「怒られながら社会を学ぶ」って大事ですもんね。
パンチくんも同じ社会経験をしているようです。

世界中でパンチくん現象

SNSで話題になっただけじゃなくて、米国・カナダ・フランス・シンガポール・イギリスなど世界の海外メディアまで取り上げ、パンチくん現象が起きています。
その理由のひとつは「殺伐としたニュースが多い中での一筋の光」という声が多かったこと。
一生懸命ぬいぐるみを抱えて仲間に近づこうとする小さな姿が、「頑張れ!」という純粋な応援気持ちを呼び起こしたんですね。
もうひとつは、動植物園の公式アカウントの丁寧な発信。
2026年2月5日の初投稿から8,000回以上リポスト、その後も状況を正直に、そして温かく発信し続けた姿勢が信頼を生みました。
その結果、市川市動植物園には連日開園前から行列!
平日でもパンチくん目当てのお客さんが殺到し、2月22日の三連休には入場規制まで出る事態になったんですって。
動物へのストレスを考慮した「苦渋の決断」だったそうです。
ちなみに笑えるエピソードもあって、「ichikawa(市川)」と「ishikawa(石川)」を1文字違いで混同した海外のファンが、石川県のいしかわ動物園に約40通の問い合わせメールを送ってしまうという珍事件も発生したそうです。

パンチくんの最新の成長報告!

心配していたみなさん、朗報です!
最近ではパンチくんは別のサルの背中に飛び乗ったり、毛づくろいをしてもらったり、大人のサルに抱きしめられたりする姿が動画で確認されています!
動植物園の担当者によると、今のパンチくんは「活発で物怖じしない性格」になってきていて、他のサルたちに対しても「自分から積極的にコミュニケーションを取ろうとしている」とのこと。
ゆっくりではあるけど、確実に群れに馴染んできているようです。
ちなみにパンチくんのお母さんザルも今は同じサル山で暮らしているようで、
ふたりが仲良くなる日は来るのかしら…なんて想像するだけでじんとします。
飼育員さんたちの
「ただかわいそうと思うのではなく、頑張りを応援してほしい」
という言葉が心に響くよね。
パンチくんはかわいそうな子じゃなくて、一生懸命生きている子でした。
これからの成長がますます楽しみ!

市川市動植物園 基本情報

場所:千葉県市川市大町284-1
開園時間:9:30〜16:30(入園は16:00まで)
休園日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
公式X:@ichikawa_zoo

※パンチくん人気で混雑しているため、来園前に公式SNSで混雑状況を確認してね!